日本の軍歌とその時代背景
──童謡・唱歌・歌謡とともに──

 明治から第2次世界大戦の敗戦までに作られた軍歌は1万曲を下らないとされる。そのうち明治の軍歌はおよそ3000曲ともされ(大正時代は軍歌の低迷期)、とりわけ明治期の日本は大日本帝国という「理念」による富国強兵政策のもと、日清戦争と日露戦争を通して軍歌は大量生産された。これに対し昭和期は単純計算では約7000曲となるが、相対的に考えると昭和期だけで1万曲を軽く超えるのではなかろうか。太平洋戦争終結に至るまでのおよそ70年間、日本人はある意味、戦争とそれを支えるための軍歌漬けの生活であった。これをもって軍歌は最大の娯楽産業となっていたと語る人もいるが、果たしてそうだったのだろうか。

 当時の人々にとって(現今の戦後の70年間以上戦争のない時代のわれわれと違い)軍歌はマニアックなジャンルでなく、日常に溢れていたことは確かであるが、今の一部の人々は軍歌を引き合いに出して語る場合、時代背景も何も考察せず、その観念的な言葉で作られた高揚感などでもって「元気が出る」などと表層的に取り上げているケースが多い。では実際に当時の人々は軍歌によって元気よく暮らしていたのか。そこで筆者は時代背景(つまりその時代の軍事的動向)を時系列も考慮しつつ、軍歌以外の童謡・唱歌・流行歌も織り交ぜ、その意味や意義を検証しながら記述してみた。また朝鮮(韓国)や中国において日本に対する抵抗運動の中で生まれた歌も取り上げ、その中から今の中国国歌になった歌もあるが、今のわれわれ日本人はほぼ知らないままである。

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