学徒出陣50年に当たる1993年、法政大学阿利総長が中心となって全国の私立大学に呼びかけ、全国272校の学長・総長の賛同を得て共同声明を発表した。
——声明文——
本年一二月は、いわゆる「学徒出陣」五○年にあたる。太平洋戦争妓中の一九四三年一○月、それまで通川されていた文科系高等教育諸学校在学者の徴兵猶予措置が廃止され、当時の大学、高等学校、専門学校に学ぶ師範系を除く文科系学生・生徒は、同年一二月一斉に陸海軍に入隊した。その数は一○万人とも一三万人ともいわれる。これより先に実施された在学年限短縮、またのちの徴兵年齢引下げが通用された人々を加えると、学業半ばにして戦場に赴いた学徒の総数はさらに増大する。そして、再び学窓に帰ることのできなかった人々が少なくなかったことは、よく知られている通りである。
今日の高等教育の重要な部分を担う私立大学の総長・学長の職にある私たちは、戦争に青春を奪われた全世界の若人たちのことを、とりわけ、戦陣に倒れた学徒のことを痛惜の念をもって想い起こす。その学業の成就に期待を寄せていた家族の方々の悲しみに、失った友の思い出とともに戦後を唯きなければならなかった人々の杵悩に想いをいたさざるを得ない。そして、今日の大学の前身をなす諸学校が、学業を志した有為の若人たちを過酷な運命にゆだねるほかなかったことに、深い胸の痛みを覚えるのである。
いま私たちの眼前にある世界は、多年にわたる東西対立という基本構造の転換とともに、二一世紀にむけて大きく変化しようとしている。その巾で私たちは平和な吐界秩序の構築という新しい希望の光を見いだすことができる。しかし他方では、地球環境の危機や民族紛争の多発、南北格差の拡大といった、新しい重大な課題も提起されている。
大学の使命が、真理の探求を通じて世界の平和と人顛の福祉に貢献すること、そのような学問的営為によって次代を担う若人を育てることにあることは言うまでもない。私たちは「学徒出陣」五○年という時期にあたり、このような悲劇を重ねないためにも、大学がその本来の使命を今日の課題に即して、十二分に果たさなければならないとの厳粛な想いに打たれる。とりわけ、総長・学長の職にある私たちは、自らの責務の重さを銘記するものである。
学徒出陣五〇年にあたって右声明する。
一九九三年一二月一日
[よびかけ総長・学長]
青山学院大学/関西大学/関西学院大学/近畿大学/上智大学/中央大学/東京理科大学/日本女子大学/法政大学/明治大学/明治学院大学/立教大学/立命鮒大学